February 3, 1998.

松木のおばあちゃん

松木のおばあちゃんは某歯科大学歯学部

（おばあちゃんはシカダイと呼ぶ）にずいぶん通い、

何個も入れ歯を作ったけど、

噛めることのできるものは一つもできませんでした。

「自称入れ歯の神様のH助教授」にも

診てもらいましたが、何十回も通わした挙げ句、

結局はタンスの肥やしになるような

入れ歯しかできなかったのだそうです。

「自称入れ歯の神様」にまつわる

この手の話は無限にあって、

珍しいことではありません。

おばあちゃんは話が好きなので、

いつも一人で話している84才です。

元気で大蔵山の邸宅から歩いてやって来ます。

呉服問屋に生まれ育ち、銀行員と結婚し、

その人が頭取になって、子供は３人いて、

長男はおとうさんの後を継ぎ銀行員、

長女はやっぱり銀行員にとつぎ今は群馬にいて、

次女は建設会社の社長と結婚して、

おとなしい男の子がひとりいて。

この間まで、おとうさんが病気で倒れて

寝たきりだったので、

自分のことなんかかまう暇がなくて、

入れ歯は合わなくなってきたのはわかったけど、

なかなかこれなくて。

なんていうとりとめのない話を20分くらい聞いて、

治療に入ります。

おばあちゃんはImmediate Dentureの患者さんで、

抜歯した日に総入れ歯の装着をしたので、

抜いた後が直るにしたがい

歯ぐきのシェイプが変わって

合わなくなったのでした。

今日は2時間かけてそれを治していたので

神田明神の豆まきには行けませんでした。

「先生、もうしわけないねぇ。」

とおばあちゃんは言いましたが、

今更厄除けなんて、私には必要ないもんね。

だからDon*t worry, Grand ma.

「先生、もうぴったりだよ。

ほんとうに遠くまで来る甲斐があるよ。

シカダイでもずいぶんと作ったけれど、

一個もあわないんだよ。

先生はシカダイの人より腕は確かだよ。」

と言うので、大笑いしたら、

「そうね。くらべたらおかしいもんね。」

と一緒になって笑いました。

おばあちゃんは

私がG.V.BLACK DENTAL OFFICE HPで

展開している日本の歯科医療改革の活動のことは

何も知りません。

女学校時代からの友達がいて、

その人が会員で、その人の紹介で

G.V.BLACK DENTAL OFFICEに

たどり着いたわけです。

一条のお殿さまの奥方、みんな覚えていますか？

84才のおばあちゃんは、

完全に自分の世界で生きていて、

たまに間違えて隣のホケンの歯医者さんに

行ってしまったりします。

予約なしで来てしまったり、

自由奔放な生活をしています。

しかし、「ほんとうの治療」の内容を

知識として知らないおばあちゃんでも、

「笑うとね、すごくかわいいって

おとうさんがいうんよ。」

とか

「もうなんでも食べられて健康そのもの。」

とか、自分で体験したことは、

ちゃんとわかっています。

「先生に治してもらってほんとにしあわせだわぁ。」

とおばあちゃんは言います。

おばあちゃんは難しいことは

分かろうとも知ろうともしませんが、

私が言おうとしている最も大切なこと、

「ほんとうの治療とは

人々を幸せにするもの」

ということを完璧に理解し体験して

自分のものにしています。

だから、元気で長生きして、

残りの人生を精いっぱい楽しんでください。

Norman Yamazaki, DDS.