G.V. BLACK DENTAL OFFICEでは
悪い歯は全部治すということですが
痛い歯や問題のある歯だけを
治すことを何故しないのですか?
ジョディ元町
ご質問の回答として次の文章を引用します。
*****
G.V. BLACK 博士の治療は妥協を
許さないものであった。
「1口腔単位の治療」
という言葉は博士が
使い始めたものである。
たとえば前歯の欠けたのを
主訴にする患者が来たとする。
それは多くの場合、
歯科に関する知識が余りない
DENTAL IQの低い人である。
診察をするとひどい虫歯が3本、
小さな虫歯が2本、
そしてやり直しの必要な歯が4本あった。
博士の治療計画にはこれら
10本の歯を治す
ということが記載される。
この治療計画書を見せられた患者は、
何故、痛くもないのに
10本も治さなくては
いけないのですか?
と疑う。
しかも4本は他の歯医者で
治療済みの歯である。
そして全部治す際にかかる
金額を見ると
びっくりして考えこんでしまう。
「1本なら納得できますが、
10本はどうも・・・」
というのである。
すると博士は何故全部
治さなければいけないか
を説明し始める。
今は痛くはないので
大丈夫だと思うかもしれないが、
実は歯の内部では
虫歯が確実に進行中であり、
放置しておけば
いずれ神経が死ぬという事実。
そして、その後は抜歯となる事実。
G.V. BLACK 博士にとって、
患者は自分の
分身であり、
この人たちの
将来の健康を
守ることが
自分に与えられた
歯科医師としての使命
だと考えているのである。
目前のカーブを曲がれば、
そこには千尋の崖があるのに、
それを知らずにフルスピードで
突進していく車があれば、
良心のある人ならば、
なんとかそのことを
運転手に伝え、
停止させるか、
安全な方向に向きを
変えさせようとするだろう。
良医は健康をおろそかにする人を
見過ごすことはできない。
歯は全てがそろって
1つの単位であり、
ピアノの鍵盤の1つに
音の狂いがあれば
それは楽器として
機能しないのと同じ事である。
つまり歯も
1本が悪ければ
10本悪いのと同様
悪い歯がある
という診断
なのである。
G.V. BLACK 博士の診療所は会員制で
診察を希望する人は裕福であり
治療計画書にある値段くらいなら
簡単に払える金額であるのに、
それに疑いをはさむのは、
歯の健康に対する
重要性と
歯の病気の進行速度を
認識していないから
だと博士は知っているのである。
よほどの天の邪鬼か
学習能力に障害のある人
でなければ信実を
伝えることにより、
納得できるはずである。
歯は一度失ったら
一生なくなった
ままである。
簡単な事実認識ではないか。
価格は1つの治療に
ついて1つの値段
しかついていない。
それは博士は
最も優れている材料と
方法を用いた治療のみを
行うことが医療である
と信じているからである。
材料の種類により値段を変えたり、
ステップを省いて短時間に治療を
終わらせたりするのは、
博士にとっては医療行為ではなく
経済行為に基づく
破壊行為にすぎなかった。
G.V. BLACK 博士は、
最高の治療を
求める人は、
経済的余裕の
あるなしにかかわらず
当然妥当な治療費を
支払うべきである
と考えていた。
人間の生命と健康は、
何にもまして価値あるものである。
歯科医師を含む全ての医師が、
自分の医療技術を
安売りすることは、
結局は、
医師自身にとっても
患者にとっても、
有益なことではない。
医師が患者に対して最高の医療を
行おうとするならば、
それに相当する十分な設備と
研修のための資金を、
治療費として得ることは、
当然と言わなければならない。
これはアメリカ医学界の
父と呼ばれている
メイヨ兄弟の言葉と一致する。
特に歯科は医療の中で唯一
ART AND SCIENCEと呼ばれ
技術が重んじられる分野である。
博士は最高の治療を
求める人の希望に答えるために、
最高の技術を持つ者を
育てる決心をした。
それは、
世の中のほんの一握りの
人に幸運をもたらす
だけであるかもしれないが、
歯科の発展のためには
存在が不可欠の人であった。
高度な技術を取得した者が栄えなくては、
技術の伝達は疎かになる。
技術がなくても
儲かるような
ことになれば
誰も苦労して
高い技術など、
マスターしよう
とはしまい。
これは歯科医療の
荒廃を招くだけである。
G.V. BLACK 博士は、
金持ちでも会員の親族でもないが
社会発展のために
貢献できる能力を持った
若い人々にはできるだけ
会うことにしていた。
その中で、
歯の治療をすれば確実に
自己能力が向上し、
社会のために
貢献できる博愛を持つ人には
自ら、
G.V. BLACK DENTAL OFFICEで
歯の治療を受けることを薦めた。
しかし、
博士の治療費は一つしかない。
だから、治療費が安くなるとか、
無料で行われるということはなかった。
博士は診断後に治療計画を見せて、
「治療は通常のペースで行いますが、
治療費は毎月払えるだけ
払って下さい。」
と言うのであった。
値段を見て驚き、
二度と姿を見せなくなる者が多い中に、
「はい。わかりました。」
ときっぱり言う者もいた。
G.V. BLACK 博士に言わせれば、
今、金もないのに
博士と治療の計画を
約束できる人というのは
将来有望なのであった。
少なくとも社会に貢献する能力を
秘めているのであった。
健康を第1において
自分を大切に出来る人。
自分は
そのくらいの金なら
何とか出来ると思う人。
つまり成功者に必要な
健康な体と
プラスの思考を
持つ人だからであった。
博士が
「あの子は立派になって
世の中を良くしてくれるよ」
と言うと必ずそうなった。
そんな一人にマイクという
自称発明家がいた。
「あの人には支払いは絶対無理」
と女性スタッフに噂されたマイクである。
200ドルの請求額に
毎月2ドル以上は払えなかった。
2年間で支払った総額が
25ドルであった。
しかし、G.V. BLACK 博士は
6カ月に一度の定期検診の他にも、
リコールの通知を出していた。
それは歯のリコールも
大切であったが
マイクに経済的な援助をしなければ、
彼の発明が途絶えるという
博士の心配の為でもあった。
G.V. BLACK 博士はマイクの発明が
アメリカの母親の家事における
重労働を軽減させ、
その余った時間を子供たちの教育に
使うことができるようになり、
勤勉な子供が増え、ひいては
アメリカが栄える国
となると信じていた。
マイクは他の歯医者に行ったとすれば
支払いの悪い貧乏な患者として
散々な扱いを受けたであろう。
しかし、G.V. BLACK 博士は
治療費の額によって、
治療内容や患者の扱い方に
手心を加えるようなことは
絶対にしなかった。
患者の経済状態はその支払い方法を
決める目安になるだけで、
治療内容や患者の扱い方とは
まったく無関係なのであった。
ここでは治療を
受ける誰もが、
G.V. BLACK 博士にとって
世界で最も大切な患者
なのであった。
ある冬の朝、
マイクが突然診療所に
G.V. BLACK 博士を尋ねて来た。
嬉しそうである。
診療開始30分前である。
マイクのリコールは1カ月先である。
看護婦も、受付嬢も、
博士ですら、いよいよ
生活費も尽きて
資金援助のお願いかと思った。
気を利かして博士が
「それじゃ、私のオフィスにどうぞ。」
と言うと、マイクは、
「結構です。
今から行くところがあります。
今日は支払だけで来ました。」
と言った。
スタッフは驚いて顔を見合わせている。
「ここに1000ドルの
小切手があります。
今までの治療費とその利子、
そして私の発明への
資金援助に対する報酬です。
そしてこの100ドル紙幣は
スタッフの方々への御礼です。
私は世間の人から
クズのように思われていましたが、
この診療所に来て
治療を受けていた時は
アメリカ大統領のような
気持ちになることができました。
昨週GE(GENERAL ELECTRIC)社に
発明の一つが
驚くような値段で売れました。
BLACK先生が紹介してくれた
ハリスさんがGE社に
紹介してくれたのです。
昨日売買契約をし、
報酬の小切手をもらいました。
今から別の件でハリスさんに
会いに行くところです。」
そう言って1000ドルの小切手と
100ドル紙幣を受付嬢に渡した。
「私は最初に治療を受けた日以来、
ずっと決めていたのは
最初の発明が売れたら、
その金を使う最初の場所はここで、
行う事は先生に借りている
治療代をお支払いし、
私の成功を信じて
援助していただいた事に
対する報酬も
さしあげるということでした。
時間の過ぎるのは早くて
2年もかかりましたが
勘弁して下さい。
これからは毎回
全額支払うことができます。」
マイクは発明を次々とした。
後にアメリカでも
指折りの億万長者になった。
フロリダに住むようになっても
歯の治療には
自家用飛行機でシカゴに帰って来た。
G.V. BLACK DENTAL OFFICEの利益は、
まず設備の拡充と
スタッフの待遇改善に使われた。
十分な給与が与えられ、
研究や学会出張を積極的に奨励した。
これによって、
治療内容も一段と充実したのである。
博士は、
毎年の個人所得のうち
半分を貯蓄しておいて、
やがてはそれを、
歯科と社会の発展のために
貢献できるようなものに
投資したいと考えていた。
彼は自分の収入は
歯科と社会から得たものだから、
いつかは歯科と社会に
“お返し”
したいと思っていたのである。